今回はイェレヴァン郊外に位置する世界遺産のゲガルド修道院・ガルニ神殿、そして帰りに寄った公園について紹介していきます。
前回の記事↓
今回のBGM
1. ゲガルド修道院近くのゴフトへ
ゲガルド修道院へのアクセスはイェレヴァンからタクシーを使うか、イェレヴァン郊外のモールからマルシュルートカでゴフトまで出てそこから更に徒歩かタクシー、となります。
今回はマルシュルートカでゴフトまで行き、徒歩で修道院へ向かう方法を使いました。理由としては様々ですが、山道を歩きたかったから・・・というのが一番大きいですかね。
道路自体は整備されていますし、歩きにくいということはないです。後日訪れたセヴァン湖周辺の方が大変でした。
早速マルシュルートカでゴフトへ到着。
その辺のY字路で降ろされます。タクシーは使う?と聞かれましたが徒歩で行くよ、と答えて下車。
売店があるので飲み物を買っていきました。この先飲み物が買えるところはないことはないのですが、乾燥した山の空気で干からびるので事前に持っておきましょう。
さてゴフトからゲガルドまでの道なのですが・・・
本当に美しいです。雪を少し被った山々と険しい岩々に囲まれた山道をひたすら歩いていきます。
地質の話ですが、これは堆積岩でしょうか?谷底の川によって深く削られています。
修道院まで距離自体はそこそこあるのですが、景色を楽しみながら歩いているとあっという間に着きました。
ちなみに道中にお食事処もないことはないです。後述しますが帰りに超ローカルのパン屋に寄りました。(そこがとっても良かった)
2. ゲガルド修道院
歩くことおよそ一時間弱。谷に囲まれた修道院が見え始めます
山を削って作った洞窟状の礼拝堂が組み合わさった複合施設です。4世紀に最初に建立され、13世紀前後に徐々に建築が進行して今の姿に近づいたようです。
ちなみにゲガルド=Գեղարդ, Geghardとはアルメニア語で「槍」を意味する単語、つまり聖遺物であるロンギヌスの槍を指します。
残念ながら、エチミアジン同様再建中。遺産の保存は重要であるから仕方ないですが、この教会の本領は中にあります。
内部には新旧含め多くの掘削して作られた部屋が入り組んでいます。
内部は自然光のみが光源となっており、非常に薄暗いです。内装はほとんど真っ黒で、非常に幻想的な雰囲気を感じます。
修道院の内部には聖水が流れている場所があり、洗礼を受けることもできるようです。
ところで、水の流れを見ていると他の観光客から「顔を洗うんだよ」と教えられ、洗ってみることに・・・
すると、顔から落ちた汚れがゆっくり流れていくのが天井から入る自然光に反射して見えました。まるで穢れが落ちていくようです。
信仰の原体験ってこういうことなんだろうなと、このような神聖な場所で身をもって体感することが出来て大変貴重でした。
3. パン屋のお話
ゲガルド修道院を後にし、再び歩いてゴフトへ戻ります。途中めっちゃくちゃに良い雰囲気の地元のパン屋さんに寄ったので、その話をしていきます。
ゴフトとゲガルドの間にはいくつかのお食事処がありますが、時間もないので見つけたアルメニアン・おばあさん二人が営むローカルな売店でパンを買うことに。
ここで、アルメニア風のハチャプリ(ハチャプリはジョージア料理のパン)を頂きました。塩気が丁度よくて、シンプルながら大変美味しかったです。
そしてなんとチョコレートとアルメニアンコーヒーのサービス付き。このコーヒーがまた美味しいんですよ・・・。
アルメニアンコーヒーは粉が沈んでいて、超濃厚なエスプレッソのような深い味わいを楽しめます。かなりイチオシです。
ゆったり食べているとおばあさんたちが床の蓋を取り始めました。丁度焼いているパンが完成したようです。
「お代はいいから、食べていきな」
・・・ということでさらにサービスしてもらうことに。アルメニアン・おばあさん、あったかすぎるだろ・・・。
さて、頂いたのは「ガタ」というアルメニアの伝統的なパン。ここのガタはサワークリームを使っているようです。
ガルニ・ゲガルド周辺では文字の掘られた大きなパイとして売っている光景も多く見ることができます。
これがまたほんのり甘くておいしいです。
しかしまあ、こんな親切にされるとは。ちょっとお話しましたけど、それも楽しかったです。
(で、ここでトイレ借りたんですが、それがもうものすごいところで・・・翌日腹を猛烈に下したのはこれが原因かも。皆さんも衛生にはくれぐれも注意を!環境が違いますし、菌は親切にしてくれません。)
このあと、再びマルシュルートカに乗ってガルニ神殿へ。バス停(Y字路)で待ちます。
こういう場所で待ってると子供が話しかけて来たりしますね。とりあえず自分は無難にバリオールと挨拶してました。
4. ガルニ神殿
次の目的地はガルニ神殿。こちらもゲガルド修道院同様世界遺産で、旧ソ連で唯一パルテノン神殿などに見られるヘレニズム・イオニア建築を見ることが出来ます。
このガルニ神殿はアルメニアがキリスト教化する以前のティリダテス一世の時代、古代ウラルトゥに由来する土着信仰の太陽神ミフルを祀るものだったそう。イェレヴァン地下鉄の駅名にもなっているアルメニアの有名な御伽話「サスンツィ・ダヴィド」にもこの太陽神をモデルにした登場人物が居るようです。
この神殿は一度地震で倒壊し、現在の姿は倒壊以後に修復・再建されたものです。ズヴァルトノツもそうですが、アルメニアは歴史的にも地震大国ですね。
ズヴァルトノツ同様再建用の石材も新しく切り出したと思われます。
近くには神殿の敷地内に後から建てられた聖シオン教会の痕跡も残っています。
神殿の位置する渓谷の谷底には「ストーンシンフォニー」と呼ばれる巨大な柱状節理が見られます。
今回はスケジュール上谷底まで降りませんでしたが、時間があれば近くで見たかったです。
こうした幻想的な景色が見られるというのも、神殿が作られる一つの理由だったんでしょうか?
ガルニ神殿の敷地内には熱した気流で加熱するタイプのローマ様式の温泉の遺構も残っています。こんなとこで入浴とは大変贅沢です。
この遺構にはギリシア文字とギリシア神話の神の名が刻まれたモザイクが今も残っています!3世紀のものだそう。
じっくり観察すると結構色んなことが書いてあって面白いです。
ガルニ神殿、どうでしょうか?今回の旅行の中では中々異彩を放つ観光地で個人的には訪れてよかったなあ、と思ってます。
ゲガルドと近いのもあり、セットで訪れるのがオススメですね。
5. チャレンツアーチ・ジルヴェジ森林公園
帰り際にタクシードライバーが居たのでバスを待つことなく景勝地・チャレンツアーチへ向かいます。アルメニアの詩人、イェギシェ・チャレンツを讃えて作られたアーチとアルメニアの象徴であるアララト山、そしてイェレヴァン郊外の荒野を一望できるスポットです。
ところで、移動中タクシードライバーと日本で何してるんだいとか身の上話やらなんやらいろんなことお話しできて楽しかったんですが、急にアメリカ・スーカ(スーカ:ロシア語でメスイヌ)とか言ってきてマジでヒヤヒヤしました。あとロシアとトルコと中国も嫌いだと言ってました。逆にどこ好きなんだろう・・・。
俺に政治トークするの、やめよう!
まあ面白いおっさんだったんで良いんですけど。
それはともかくアーチに到着したのですが・・・
アララト山、見えねえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いやまあカスケードコンプレクスから見えたから良いんですけど・・・良いけどさあ・・・結構楽しみだったんですよねえここ。まあ仕方ないです。
待っていても見れるはずもないので、隣接する森林公園で時間を潰すことにしました。
公園に入り、白樺に囲まれた道の間を進んでいきます。
季節に応じて公園の顔も結構変わるらしいですが、今は春の手前の冬という時期なので、そこまで目立つものはありません。
この世に不満を持ってそうな人が書いたっぽい落書きを発見。
公園自体は結構広いので頑張って歩き続けます。しばらくすると荒野に突入し・・・
無限に広がる大地!!!!!!!!って感じです。自分も荒野に居て歩いても歩いても景色が変わらないのでアーチで見るよりより広さを感じる気がします。吹きすさぶ荒野に、ぽつりと自分だけ。
公園内は廃墟や荒れまくった道路が放置されてるので、歩くときはちょっと注意しましょう。あと野良犬とか居るかもしれないんで警戒は怠らずに。
今日はこれで観光地を後にして、歩いてイェレヴァン近くのバス停へ戻りました。
6. まとめ
今回はイェレヴァン郊外、コタイク地方の観光地のゲガルド・ガルニについて紹介しました。どちらも違った良さがありましたし、ゴフト村からの道や森林公園を歩きまくったのも異国を楽しみつくすという点ではやってよかったなと思ってます。アルメニアン・おばあさんもありがとう。
・・・最後にもう一度言いますが、衛生には気を付けて!
次回は散々色んな人から勧められて訪れることにするも、腹を下してトイレと頻繁に格闘することになったセヴァン湖編です。